# 僕がポートレート撮影でNikon Z 5IIと大口径レンズ、Godoxストロボを選ぶ理由
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はじめに: 機材選びは「何を撮りたいか」から始まる
こんにちは、ヒロムです。ポートレート撮影について語るとき、多くの人が機材の話題に興味を持ちます。「どのカメラを使っていますか?」「そのレンズ、良いですか?」といった具合です。
もちろん、機材が全てではありません。しかし、自分が「何を」「どのように」撮りたいかという意志を、写真として具現化してくれるのが機材であることもまた事実です。良い機材は、表現の幅を広げ、撮りたいイメージに近づくための強力な助けとなります。
この記事では、僕が現在のポートレート撮影でメインとして使っている
- カメラ:
- Nikon Z 5II
- レンズ:
- NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
- NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
- ストロボ:
- Godox AD600Pro2
という組み合わせについて、なぜこの機材たちを選んだのか、その理由と哲学を語ってみたいと思います。これは単なる機材レビューではなく、「僕の撮りたいポートレート」から逆算した、機材選択の思考プロセスそのものです。これから機材を選ぶ方、次のステップを考えている方の参考に少しでもなれば幸いです。
カメラ: なぜNikon Z 5IIなのか
現在、僕のメインカメラはNikonのフルサイズミラーレス、Z 5IIです。なぜ軽くて安価なAPS-Cフォーマットを選択しなかったのか。Z 6IIやZ 7IIといった上位機種がある中で、なぜZ 5IIを選んだのか。理由は大きく3つあります。
1. APS-Cを比較して、フルサイズは大きくぼけるから
同じ画角とF値であれば、センサーサイズが大きい方が背景をより大きくぼかすことができ、被写体を際立たせる上で有利です。
2. 信頼できる瞳AF
ポートレートの基本は「目にピントが合っていること」。特に、絞りを開けて撮影することが多いポートレートでは、ピントの精度が非常にシビアになります。Z 5IIに搭載されている瞳AFは、被写体が動いていても、手前を何かが横切っても、粘り強くモデルの瞳を追い続けてくれます。この信頼性があるからこそ、僕はピント合わせをカメラに任せ、構図やモデルとのコミュニケーションに集中できます。
3. 上位機種との比較とコストパフォーマンス
もちろん、Z 6IIやZ 7IIは、連写性能や動画性能、画素数など、多くの面でZ 5IIを上回ります。しかし、ポートレートにおいては連写性能が動画性能は不要です。画素数については、まぁ、合った方がいいのかもだけど、以前使っていたCanon 5D Mark IIの2100万画素で不足を感じたことがなかったということがあります。
レンズ(1): なぜNIKKOR Z 50mm f/1.2 Sなのか
1. 標準50mmの自然な画角
50mmという焦点距離は、人が肉眼で見た視野に近いと言われており、非常に自然で普遍的な画角を持っています。広すぎず、狭すぎず。被写体との間に適度な距離感を保ちながら、背景の情報を整理し、ストーリーを感じさせるような写真を撮るのに最適です。 僕は全身からバストアップくらいまでをこれで撮ることが多いです。
2. f/1.2が切り開く、異次元の表現
絞りを開放すれば、ピントが合った瞳の芯は驚くほどシャープでありながら、そこから溶けていくような、美しく大きなボケを創り出せます。被写体を背景から完全に分離させ、まるで別世界にいるかのような、幻想的な雰囲気を作り出すことができるのです。この「ボケの質」こそが、他のレンズでは得難い、このレンズを選ぶ最大の理由です。

レンズ(2): なぜNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sなのか
1. ポートレートにおける「圧縮効果」
望遠レンズで撮影すると、背景が被写体にぐっと近づいて見える「圧縮効果」が得られます。これにより、背景をシンプルに整理し、被写体を力強く浮き立たせることができます。僕自身、モデルの表情をシンプルに切り取り、強調したいときには特にこの圧縮効果を多用します。 特に顔をアップで撮るときは200mm付近で撮ります。50mmなどの広角よりの画角だと、やはり若干歪むので、それを避けている感じです。

2. 一本で多彩なフレーミングを
70mm、85mm、105mm、135mm、200mmといった、ポートレートで多用される焦点距離を一本でカバーできるのは、ズームレンズならではの大きなメリットです。自分が動けないような状況でも、ズームリングを回すだけで最適なフレーミングを探ることができます。このフットワークの軽さが、シャッターチャンスを逃さないことに繋がります。
3. f/2.8通しの明るさと強力な手ブレ補正(VR)
ズーム全域でf/2.8の明るさを維持できるため、暗いシーンでもシャッタースピードを稼ぐことができます。また、強力な手ブレ補正(VR)機能により、手持ちでもブレの少ないシャープな写真が撮れます。撮影の成功率を格段に上げてくれる、信頼性の高い一本です。
ストロボ: なぜGodox AD600Pro2なのか
ライティングは、写真のクオリティを劇的に変える要素です。僕がGodox AD600Pro2というバッテリー式の大型ストロボを使っているのには、明確な理由があります。
1. 日中の太陽に打ち勝つ大光量
AD600Pro2の「600Ws」という光量は、日中の強い太陽光の下でも、しっかりと被写体に光を当て、影をコントロールすることを可能にします。いわゆる「日中シンクロ」撮影で、空の青さを保ったまま、モデルを明るく照らし出すようなドラマチックな表現が可能です。これは、クリップオンストロボでは難しい、大光量ストロボならではの世界です。
2. ロケーション撮影の自由度
バッテリー駆動であるため、電源のない屋外のどんな場所にも持ち出して、本格的なライティングを組むことができます。コンセントを探す必要がないというだけで、撮影場所の選択肢は無限に広がります。
3. HSS(ハイスピードシンクロ)による表現の自由
HSS機能に対応しているため、カメラの同調速度(Z 5IIでは1/200秒)を超える高速なシャッタースピードでもストロボを発光させることができます。これにより、日中でもf/1.2のような明るい絞り値で撮影することが可能になり、「背景を大きくぼかしつつ、ストロボで被写体を照らす」といった、よりクリエイティブな表現が実現できます。
4. 豊富なアクセサリーとコストパフォーマンス
Godox製品は、プロ向けの機材としては比較的安価でありながら、非常に高い性能を誇ります。また、先端のアクセサリーマウントが「ボーエンズマウント」という業界標準の規格であるため、Godox純正品だけでなく、世界中のサードパーティ製のソフトボックスやリフレクターなどを自由に使えます。この拡張性の高さも大きな魅力です。
今回紹介した機材
この記事で紹介した僕のメイン機材はこちらです。製品の詳細や価格は、リンク先でご確認ください。
- カメラ: Nikon Z 5II
- レンズ: NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
- レンズ: NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
- ストロボ: Godox AD600Pro2
まとめ: 僕の機材選びの哲学
ここまで、僕が使っている機材と、それを選んだ理由について語ってきました。
- カメラ (Nikon Z 5II): 信頼できるフルサイズの相棒
- レンズ (NIKKOR Z 50mm f/1.2 S): 広い画角で綺麗にぼける
- レンズ (NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S): 顔を綺麗に写したいなら
- ストロボ (Godox AD600Pro2): 表現の幅を広げる
僕の機材選びは、「撮りたい絵」を明確にし、それを実現するために「何が必要か」を考え、そして自分の撮影スタイルや予算と相談しながら、一つ一つのピースを揃えていく、というプロセスに基づいています。
この記事が、あなたの「撮りたい一枚」に繋がる機材選びのヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。